概要 |
多くのスポーツは肉体の強化のため、毎日厳しいトレーニングに身を置いています。しかし、筋肉へ十分なエネルギーを補給せずに厳しい運動を行うと、その不足したエネルギーは筋肉を分解して補給されます。すなわちこのようなトレーニングは筋肉の強化に逆効果になります。よって、十分でかつ速やかな栄養補給が不可欠になります。
このクレアチンは、運動時に必要なエネルギーの直接的な源です。これは人間の体内で数種のアミノ酸から自然に作られるのですが、その分では厳しい運動に対しては不足します。よって、牛肉などの食品から補給しなければならないのですが、食品中にもごく微量しか含まれていないため、十分な量をまかなうには食事を大量にとらなければなりません。これは栄養上全く良くないことで、それよりもクレアチンそのものを食品として摂取することが望ましいと考えられます。
なお、アメリカ大リーグのレギュラークラス、特にホームランキングを争ったM.マグワイア、S.ソーサ両選手や、オリンピック選手のほとんどが、このクレアチンを利用してすばらしい成績を残していると言われています。
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有効成分 |
クレアチン1水和物
クレアチンだけでは水に溶けにくいのですが、水分子を含ませることにより、より効果が高くなります。
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製法 |
原料
cyanamine(cyanamide):CH2N2 化学的に合成
sarcosine :アミノ酸の一種グリシンから合成
cyanamineとsarcosineを混合し、化学的に反応させた後、純度が100%付近になるまで、再結晶化によって精製しました。
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安全性 |
急性毒性 LD50値:9g/kg以上
成人男性(60kg)に換算すると540g以上になります。
また、慢性的な副作用の報告はありません。
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性状と特性 |
性状:白い結晶粉末で無臭
溶液:無色透明
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歴史 |
このクレアチンは1832年初頭、フランスの科学者Chevreulによって牛肉から発見されました。1847年には野生の狐が家畜の狐の約10倍ものクレアチンを持っていることが解り、これは運動の結果、クレアチンが筋肉に蓄積するためだと考えられました。
また20世紀初めに、人間の消費したクレアチンが全て尿として排泄されないことが解りました。これによりクレアチンは体内に貯蔵されているという認識が浸透し、クレアチンの摂取により筋肉のクレアチン量が劇的に増加することをある科学者が1912年に発見しました。その後、Greenhaffらによりクレアチンリン酸の作用が研究され、クレアチンが骨格筋の代謝に重要な役割を果たしていることが解明されました。
それ以来、クレアチンは人々に注目され、様々な研究がなされています。しかし、クレアチンと運動能力に関する研究は、1990年代からようやく本格的になっています。
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クレアチン(クレアチンモノハイドレート)粉末規格書 |
項目 |
規格値 |
外観 |
白い結晶状の粉末 |
溶液の状態(50℃の水50mlに1g) |
無色透明 |
硫酸塩 |
0.1%以下 |
クレアチニン(不純物の一種) |
0.5%以下 |
乾燥減量
(105℃) |
12.5%以下 |
純度:(乾燥ベース) |
99.0%以上
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FAQ
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クレアチンはどのようにして効きますか?
クレアチンは筋肉収縮に使われる3つの主なエネルギーシステムの1つにおいて、重要な役割を持っています。筋肉内には化学的に結合していないクレアチンとリン酸と結合しているクレアチンリン酸が存在しており、その比率は 1:2となっています。
筋肉が活動するとき、まずエネルギー源となるのがATP(アデノシン三リン酸)という物質で、これはリン酸分子を一つ放出することで筋肉にエネルギーを供給します。そしてこれは、ADP(アデノシン二リン酸)と呼ばれる物質になります。クレアチンリン酸はこのADPにリン酸分子を与え、ATPとして作り直します。
このATPの再生能力は筋肉内に含まれるクレアチン量に左右されます。筋肉中にクレアチンが多ければ多いほど、より多くのATPを再生することが出来ます。これにより、筋力が増加するのです。一方、クレアチン以外にもATPを再合成する解糖と呼ばれる生理作用があります。これはブトウ糖を乳酸という物質に分解してATPを得るのですが、この乳酸が筋肉にたまると、疲労感を感じてきます。しかし筋肉内のクレアチンすべてを使ってATPを再生し続けたなら、乳酸の生産を最小限に押さえ、より長く、より激しく運動し続けることが出来ます。
クレアチンは筋肉繊維を構成するアクチンとミオシンというタンパク質の合成を促進します。このクレアチンを摂取して運動すればするほど、筋力はどんどん増えます。
クレアチンの補給は2つの段階に分けることが出来ます。第1段階はロー ディングと呼ばれ、筋肉内でのクレアチンの最大貯蔵量を引き上げます。この期間は大抵5〜7日続きます。その後クレアチン摂取量を長期間、低レベルに減らします。この第2段階はメンテナンスと呼ばれています。
なお、一日の摂取量の目安は4〜6gがよいと報告されています。
- 体内にはどのくらいのクレアチンがあるのですか?
体内のクレアチン量は筋肉の量に比例します。また、体脂肪内にはクレアチンはありません。約70kgの人で、平均で120gあります。菜食主義者の人は普通の人よりも、クレアチン量は低くなっています。座ったままの状態で、1日約2gのクレアチンが消費されますが、正確な量はスポーツの種類、強度、個々の筋肉質量によって異なります。
- 現在、よくクレアチンを使っている人は?
多くのプロ競技者やオリンピック競技者によりクレアチンは使用されています。1970年からロシアやブルガリアの選手により使用されてきました。オリンピックの金メダリストにもこのクレアチンを使った人はいますが、国際的組織から異議を申し立てられたことは一度もありません。現在では主にボディービルディングで、また陸上競技、水泳、自転車、スキー、フットボール、サッカー、テニス、バスケットボール、野球などでクレアチンの効果が認められています。
- クレアチンは安全ですか?
人間へのクレアチン投与の実験は、約1世紀以上行われています。しかし1ヶ月以上の長期的な、20g以上の大量摂取についての研究報告はありません。しかし、1年間以上クレアチンを摂取している人にたずねると、副作用を感じたと話す人はいませんでした。クレアチンは体内で合成される水溶性のものなので、過剰摂取すると尿として排出されます。よって、異常を感じても摂取を止めれば、その症状は治ります。
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